ディーリアス/フロリダ組曲 ほか
(David Lloyd-Jones指揮 English Northern Philharmonia)



Amazon : Delius: Florida Suite

Tower : Delius/Florida


こないだの月曜日の朝、「あー仕事かったるいなー、行きたくないなー」と思いながら職場に向かって運転してたらラジオからこんな爽やかな音楽が。

 

知らない曲です。
「いい曲だ! 誰の曲だろう?」

終わってから告げられた曲名で、ディーリアス「フロリダ組曲」から第2曲「川辺にて」と知りました。

ディーリアスって、こんな素敵な曲書いてたんだ! と、かなり驚きました(←微妙に失礼)。
早速CDを注文しちゃいました。

フレデリック・ディーリアス(1862〜1934)はイギリス生まれですが両親はドイツ人でした。
大学卒業後、実業家(羊毛業)の父親のすすめでイギリスで商社勤めをしましたが、勝手に退職しドイツに音楽の勉強に行ってしまいます。
父親に叱られてスウェーデンの企業に送り込まれますが、ここでも仕事はそっちのけでグリーグと親交を結びイプセンの演劇にのめり込みます。
次にフランスに行かされますが、仕事をさぼってコート・ダジュールで遊び惚けます。
1884年、業を煮やした父親は彼を新大陸アメリカはフロリダのオレンジ・プランテーションに送ります。
が、例によってプランテーション経営はそっちのけで音楽の勉強を続け、黒人霊歌にも興味を持ちます。
ついにはプランテーション経営の仕事を完全にやめ、音楽教師の看板を揚げるありさま。
ここへきて父親は匙を投げ、フレデリックが音楽家になることを認め、ライプツィヒ音楽院に入学した彼に学費を出してやるのでした。

「フロリダ組曲」は1887年ライプツィヒに移ってから、フロリダでの思い出を音楽にしたもの。
「夜明け〜踊り」「川辺にて」「夕暮れ〜プランテーションにて」「夜に」の4曲からなる38分の大曲。
全編美しい旋律で彩られ、飄々としてカラフル、リリカルでロマンティック、作曲者の若い感性が自由に飛翔します。
作曲者の経歴もあいまって、いい感じに勤労意欲を奪ってくれます。

それにしてもこんな名曲をいままで知らなかったなんて・・・。
長生きはするもんですな。

なおこの曲の初演は1888年ライプツィヒで行われましたが、聴衆は作曲者とグリーグシンディングの3人のみだったそうです(アマチュアバンドのライブかよ)。
演奏した楽団員には報酬の代わりにビールがふるまわれたんだとか。

このCDにはほかにも美しい管弦楽曲がいろいろ収められていて、何度でも聴きたくなる一種麻薬的な魅力を放っています。

 春の牧歌 (ただただ優美・・・)
 

 スケルツォ (妖精が踊っているようです)
 

(2021.11.13.)

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