エドモンド・ハミルトン(中村 融・訳)/フェッセンデンの宇宙
(河出書房 2004年)



Amazon.co.jp : フェッセンデンの宇宙

Amazon.co.jp : フェッセンデンの宇宙 (文庫版)
(収録作も増えてお得!)

かつて私はSF読みでした。
アシモフ、ハインライン、クラーク、ブラッドベリ、次から次へと楽しんだもの。
しかしいつの頃からかSFは、私の頭脳を置き去りにして、百万パーセクの彼方へと飛翔してしまいました
 (要するに、ムツカシすぎてついて行けなくなったのです)。

さて、「フェッセンデンの宇宙」は短編集です。 これこそ「私にもわかるSF」。
作者エドモンド・ハミルトンは今年生誕100年、「キャプテン・フューチャー・シリーズ」で有名な人(読んだことないけど)
ここに収められたSF作品は1930年代から50年代に書かれたクラシックな香り立つものばかり。
私のような落ちこぼれSFファンでも安心して読むことができます。
実のところ少々古臭い気がするわけですが、「古き良き本格SFの香り」と言えば言えてまうところが、
言葉って便利です。

自らの手で小さな宇宙を作り出してしまったマッド・サイエンティスト、
棺の中で目覚め、九死に一生を得たはずの男の悲しい運命、
自分の創造した野蛮な作品世界に取り込まれてしまった小説家、
毎夜、夢のなかで異国の王子として冒険に生きる平凡なサラリーマン、
どの作品も忘れがたい印象を残してくれました。

(04.10.9.記)

「本の感想小屋」へ

「整理戸棚」へ

「更新履歴」へ

HOMEへ