エネスコ/弦楽八重奏曲(&ピアノ五重奏曲)
(クレメラータ・バルティカ)
(Nonsuch 79682-2)



Amazon.co.jp : George Enescu: Octet, Op. 7; Quintet, Op. 29


このあいだ車で通勤中に、FMから聴こえてきた弦楽曲。
室内楽にしては響きが厚いし、合奏曲にしてはソロが多いし、どういう編成なんだろう?
そして、熱っぽく・激しく・力強く語りかけてくる、この豊かな響き、
後期ロマン派っぽいけれど、いったい誰の作品だろう??
リヒャルト・シュトラウス? ツェムリンスキー? ちょっと違うなあ・・・。 
まあ曲が終われば、曲名がアナウンスされる・・・
・・・と思っていたら、これがなかなか終わらないのです。
いま終わるか、いま終わるかと思っているうちに職場に着いちゃいました。

いやあ、悩みました、このまま聴くか、仕事場に行くか。
あとでインターネットでラジオの番組表を調べれば、曲名くらいわかるし、
マジメな勤め人としてはラジオを切って車を降りて、職場に向かうのが正しい姿です。


  駐車場で最後まで聴いてしまいました。
 (ええ、遅刻しました。)

その曲は、クレメラータ・バルティカが演奏する、エネスコ「弦楽八重奏曲 作品7」
さっそくCDを注文!
全4楽章、38分の大曲で、私はどうやら第1楽章の途中から聴き始めたよう(そりゃ終わらんわ)

ジョルジュ・エネスコ(1881〜1955)はルーマニア生まれの作曲家/ヴァイオリニスト。
名前だけは知っていましたが作品を聴いたのは初めて。
「弦楽八重奏曲」は、驚いたことに19歳の作品で、なるほどこの熱さ激しさは若さゆえか。

第1楽章は再現部のないソナタ形式なのかなあ、これは?
渦巻く大河の流れを思わせる冒頭主題と、はかなげな副主題の対比が印象的。
 (第1楽章)

第2楽章は緊張感あふれるスケルツォ風、第1楽章の主題が自在に展開されます。
瞑想的でやさしい第3楽章でも、既出の主題要素が顔を出します。
フィナーレでは華やかなワルツのリズムの上にこれまでの主題群が回想され、展開され、盛り上がり、大団円へ。
古典的な4楽章形式をとりつつも、全曲で大きなソナタ形式を形作る、大胆な構成。
 (第4楽章)

  気力充実、音響贅沢、雄弁闊達、気宇壮大、才気横溢・・・

若き作曲者の情念がストレートにほとばしってます。 こういうの好きです。 愛聴曲になりそうです。
しかし、同時収録の「ピアノ五重奏曲 作品29」は、なにがなにやらさっぱりわかりません。
途中で寝てしまって、いまだに最後まで聴きとおせません
う〜む、エネスコ、手ごわい! なかなか一筋縄ではいきません、この人。

(04.6.20.記)


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