パティ・スミス・グループ/イースター
Patti Smith Group / Easter
(1978)



Amzon.co.jp : イースター

Tower@jp : イースター


あれは忘れもしない1980年だったか81年だったか(忘れとるやないか!)
とにかく、まだLP時代で、CDはこの世に存在していなかったころ。
私が住む地方都市に、はじめて「輸入盤店」ができました。
小さなレコード・ショップの片隅が「輸入盤LPコーナー」になったのです。
解説や歌詞対訳がついていない代わりに、国内盤よりすこし値段が安くて、
新譜が早く聴けるのも魅力でした。
クラシックはあまり置いてなかったですが、とにかく輸入盤が物珍しくて、けっこう通いました。

その店で買った一枚、パティ・スミス・グループ「イースター」

ロバート・メイプルソープのインパクトあるジャケット写真に圧倒され、思わずジャケ買い。
何気ないようで完璧な構図、セクシーな中に漂う不思議な気品(腋毛剃ってない)
LPだと、ほんとに迫力ありました。

音楽もすごい迫力でしたー。
対訳がないのは承知してましたが、なんと英語の歌詞カードもついていなかったので、
曲の意味もほとんどわからないまま、繰り返し一生懸命聴きました。


さて今回、「イースター」のCDをなんとなく買ってみました。
二十数年ぶりに聴くパティ・スミス
CDをかけたとたんに、輸入LPの封を切ったときの、あの妙に酸っぱいインクの匂いとか、
レコード盤がビニールでなく紙の袋に入っていたこととか、
いろいろよみがえってきて、しばし心が飛びました。

トラック1"Till Victory"
前に前に進むメロディに、パティのまっすぐで力強い声。
「大地にしっかり足をつけて闘っている人の声だぞこれは」と思ったことであります。

 

トラック3は名曲"Because the Night"
冷静に聴けば単なるラブソングですが、
パティ・スミスが歌うことで呪術的な深淵がぱっくりと黒い口を開きます。
「繰り返しのフレーズがしつこい曲だなー」と思わないでもありませんが、そこはほら、呪術ですから。

 

そして、トラック5"Babelogue"からトラック6"Rock'n Roll NIgger"への流れの素晴らしさには、いま聴いてもサブイボが出ます。

 

じつはパティ・スミス、このアルバム以外には聴いたことがないのですが、60歳の今も元気で活動しているそうです。

あのレコード店はもうないですが。

(08.10.22.)

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