デヴィッド・マシューズ/DUNE(砂の惑星)
(1977)



Amazon : 砂の惑星


昔よく聴いたフュージョン・シリーズ(?)。

ジャズ・ピアニスト/コンポーザー/アレンジャーのデヴィッド・マシューズが1977年に録音した名盤

 DUNE(砂の惑星)

1965年に発表され「世界で最も売れたSF小説」と言われるフランク・ハーバートの同名SF小説にインスピレーションを受けた組曲です。

 第1曲 惑星アラキス
 

いまから8000年後の未来、アトレイデ公爵家は皇帝の命を受け砂漠惑星アラキスに赴任します。
しかし陰謀により公爵は殺され、息子ポウル・アトレイデは母ジェシカと二人きり、果てしない砂漠への逃避行を余儀なくされます。

小説は日本ではハヤカワ文庫から出ていて、ちょうど読み終わったころにタイミングよくこのアルバムが発売。
ラジオで全曲放送されるのをFM雑誌(死語)で知り、カセットテープ(死語)にエアチェック(死語)しました。
その後LPを買い、いまはCDで持ってます。
4曲からなる組曲ですが、小説の世界観と合ってるかと言われると正直、

 「よーわからんな〜」

だったのですが、音楽としては素晴らしく、「フュージョン・バンドのための交響組曲」と呼びたい充実作。

メンバーは超豪華。
ランディ・ブレッカー、デヴィッド・サンボーン、グローヴァー・ワシントンJr、エリック・ゲイル、スティーヴ・ガットなど
いかにもギャラ高そうな顔ぶれが名を連ね、ストリングスも贅沢に使ってます。

 第2曲 サンドワーム
 

サンドワームは惑星アラキスの砂漠に生息する巨大生物で、特産物「スパイス」を生産します。
スパイスを服用することで感覚が研ぎ澄まされ、一時的に予知能力を得ることすらできるため、スパイスを支配するものは強大な権力を持ちます。
ヒップなベースにファンシーなテーマが乗っかる可愛らしい曲で、巨大生物どこへ行ったよって感じですが・・・。

 第3曲 ベネ・ゲセリットの唄
 

ベネ・ゲセリットは女性のみの秘密結社で、遺伝子の組み合わせで救世主を産み出すことが目的。
そのため権力者に取り入りながら、何世代にもわたって王家や貴族の婚姻を操ってきました。
じつは主人公ポウルの母ジェシカもベネ・ゲセリットの一員。
この曲は間奏曲的な短いスローナンバー。

 第4曲 救世主ムアドディブ
 

主人公ポウルは最終的に覚醒して救世主ムアドディブとなります。
デヴィッド・サンボーンが軽やかに吹くテーマを中心にファンキーかつポップに展開するノリノリ・ロンド。
軽快な曲ですが、小説ではポウルは救世主となったことでさらなる重荷と犠牲を強いられます。
ベネ・ゲセリットのテーマが再現して終わります。

70〜80年代に一世を風靡したフュージョン・ミュージックの傑作。
いま聴くとかえって新鮮、いまどきこんな音楽作る人いませんからね。
原作小説も新訳版が出ているようですね、再読してみようかな。


LPのB面はデヴィッド・ボウイ「スペース・オディティ」や「スターウォーズのテーマ」をフュージョン・アレンジで聴かせます。
そういえばジャケットはもろに「スターウォーズ」のパロディです。

デヴィッド・マシューズは80年代になるとマンハッタン・ジャズ・クインテットを結成、人気を博しました。

(2023.12.25.)

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