ダニエル・ダル・バルバ/ヴァイオリン・ソナタ集
(ヴァレリオ・ロジト:Vn フェデリコ・デル・ゾルド:Harpsichord 他 2022録音)



Tower : Dal Barba/Violin Sonatas

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イタリアの作曲家、ダニエル・ダル・バルバ(1715〜1801)。
これまで名前を聞いたことすらありませんでしたが、曲を聴いたとたんにファンになってしまいました。

 ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ長調 第1楽章 Addaggio
 

やさしく紡がれる柔らかで暖かい歌。
聴くだけで肩こりが治りそうです。

これはヴァイオリンソナタを6曲収録した2枚組ですが、徹頭徹尾この調子。
激しい曲とか荒々しい曲はありません、哀し気な曲も劇的な曲もありません。
全曲長調で、春の日差しのようなポカポカした音楽がたっぷり2時間近く詰まってます。

 ヴァイオリン・ソナタ第2番 変ロ長調 第2楽章 Allegro Lento
 

伸びやかなメロディが環境音楽のように淡々と流れ続けるダル・バルバの音楽、
温泉に浸かってまどろんでいるかのような、麻薬的な心地良さがあります。
そのうち眠ってしまい、ジャケット絵画の娘さんみたいに頬をくすぐられても気が付かなくなるんでしょうか。
ピエトロ・アントニオ・ロータリ(1707〜62)の「眠る少女」という絵だそうです。

 ヴァイオリン・ソナタ第3番 ト長調 第3楽章 Minuetto variato
 

ダニエル・ダル・バルバは、ヴェネツィアでオペラ作曲家、歌手、ヴァイオリニストとして活躍しました。
当時は自分で弾いて歌える作曲家が多かったそうです。
現代のミュージシャンがギターを弾きながら自分で作った曲を歌うのと同じですね。
のちにヴェローナ大聖堂の楽長に就任してからは、宗教音楽もたくさん書きました。

このアルバムに収録されたヴァイオリンソナタは、ヴィヴァルディやタルティーニのヴィルトゥオーゾ的なスタイルとは一線を画します。
対位法はほとんど使わず、シンプルな和声となだらかなメロディで聴くものを惹きつけます。
バロックから古典派への過渡期のギャラント・スタイルというものですが、いやこれいいですね〜。

それにしても、知られざる魅力的な作曲家って、たくさんいるものです。

 ヴァイオリン・ソナタ第5番 ヘ長調 第2楽章 Allegro
 

(2023.04.02.)

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