ケルビーニ/レクイエム ニ短調
(リッカルド・ムーティ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 アンブロジアン・シンガーズ)
(1973録音)



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わしが男塾塾長・江田島平八である!
本日は諸君に、漢(おとこ)の、漢による、漢のためのレクイエムを紹介するものである。

それは、ルイジ・ケルビーニ(1760〜1842)のレクイエム ニ短調(1836) である。

男声合唱と管弦楽のためのレクイエムである。
女声は全く使われない。
おまけに全7曲のうち最初の2曲では、あえてヴァイオリンとヴィオラを封印、低音中心の渋い渋い響きとなっておる。
男たるもの、水墨画のような深く重いサウンドを、存分に味わいたいものである。

 ケルビーニ:レクイエム ニ短調・第1曲「入祭唱とキリエ」
 

いわゆるひとつの男声オンリーであるので、男汁ダクダクの、ムサイ音楽を想像する塾生もおるであろう。
あるいはゴツゴツした攻撃的な音楽だと思う輩もいるであろう。

ところがどうだ、この意外なほどまろやかで豊かな音楽は。
華やかさはないものの、暖かくふくよかな響きに魅了されるのである。

とくにほぼアカペラで歌われる第6曲「ピエ・イエス」から、大きな起伏に富んだ最終曲「アニュス・デイ」に至る荘厳な流れ!
最後は管弦楽だけで永遠の安息を暗示するかのように静かに結ばれる。
男たるもの、一度は聴いておくべきと言えよう。
もちろん女性にも聴いてもらいたいものである。

 ケルビーニ:レクイエム ニ短調・第6曲「ピエ・イエス」第7曲「アニュス・デイ」
 

ルイジ・ケルビーニはイタリア生まれでフランスで活躍した作曲家だが、生前からドイツ、オーストリアなど全ヨーロッパで高く評価されていた。
オペラ「メデア」が有名だが、わしは聴いたことがないのである、エヘン!(←威張るな)。
ちなみにベートーヴェンはケルビーニをとても尊敬していたという。

 なお、ケルビーニには、混声合唱と管弦楽のためのレクイエム ハ短調(1816)もある。
 フランス革命で処刑された国王ルイ16世を追悼するミサのために、 ルイ18世の命によって作曲された、厳粛で劇的な名曲である。
 この曲は、ベートーヴェンの葬儀の後の追悼ミサでも演奏されたという。
 当時いかに高い評価を受けていたかがわかろうというものである。

晩年に作曲されたこのレクイエム ニ短調(1836)は、どうやら自身の葬送のために書かれたものであるらしい。
実際に1842年、ケルビーニの葬式でも演奏された。
人生の幕のおろし方として、実に見事である!
見習いたいものである。
わしも、みずからこのレクイエムを歌ったものを録音し、自分の葬式で流してもらうことに決めたのである。
だ、誰だ、葬式が大爆笑になるなどと言っているのはっ!!

(11.9.3.)

ケルビーニの宗教曲ボックスセット。
お得である。
ただし限定盤である。


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