妖精の庭〜2台のハープによるフランス近代音楽集
(デュオ・ビリティス 2006〜07録音
Amazon : 2台のハープによるフランス作曲家の作品集 (Le Jardin Feerique)
<曲目>
フランク:前奏曲、フーガと変奏
ドビュッシー:組曲「子供の領分」
フォーレ:組曲「ドリー」
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
早いもので、もう8月です。
今日は日曜日ですが殺人的な暑さ、巷では新型コロナウイルスが猛威を振るっていることもあり、外出する気にもなりません。
閉めきってエアコンをかけても聞こえる蝉の大合唱(となりが神社で林になってるのです)。
蝉の声も夏らしくて悪くないのですが暑苦しいことは暑苦しい。
そこで涼しげな音楽でも聴こうと思って取り出した一枚が、
妖精の庭〜2台のハープによるフランス近代音楽集
ハープの音、涼しくて爽やかです。
しかも贅沢にもハープ二重奏です、デュエットです、涼しさも二倍です(そうか?)。
ジャケットも華やかでかつ品があります。
ブリリアント・クラスックス、廉価盤レーベルですがいい仕事します。
フランク「前奏曲、フーガと変奏」はもとはオルガン曲で、厚ぼったい・・・失礼、温かな響きですが、2台ハープで演奏するとまるで岩肌を清水が流れるよう。
透明で楚々としたたたずまいがチャーミングです。
前奏曲
ちなみに原曲はこれ。
(後ろに立ってる譜めくりのお兄さんが気になる・・・)
ドビュッシー「子供の領分」も、ハープ2台だとファンタジック成分が五割増しな感じ。
「雪が踊っている」なんて、夢と幻想の世界。
部屋の中を雪が舞っている幻影が見えるようです(←おかしなクスリはやってません)。
雪が踊っている
「ゴリウォーグのケークウォーク」も優美かつ上品で、曲の趣旨(黒人人形のひょうきんな踊り)とはちょっと違う気もしますが、とにかく綺麗。
選曲は何のひねりもなく、フランス近代音楽王道ど真ん中一直線で素晴らしい。
問答無用の優雅さ上品さ、かぐわしい香りが漂ってくるようで、小指を立てて紅茶など飲みたくなります(←オッサンがやると不気味)。
フォーレ「ドリー」より「子猫のワルツ」 (なにこのチャーミングさ!)
フォーレ「ドリー」より「スペインの踊り」 (華やかで洒落てて最高!)
なぜかラヴェル「マ・メール・ロワ」の第4曲「美女と野獣」が省略されているのが不思議ですが・・・。
やはり野獣はハープにふさわしくないのか?
ラヴェル「マ・メール・ロワ」より「妖精の庭」 (静かにまどろむような終曲)
(最後のグリッサンドの連続はまさにハープの独壇場)
原曲にかすかに存在する刺激成分は除去されて、スマートかつ透明に響かせて綺麗のなんの。
魅力的な曲に完成度の高いパフォーマンス、洗練されたハーモニーからしたたり落ちる情の色、そこから生まれる柔らかな快楽に酔います。
もっともハープの演奏って、両手両足フル稼働、弦の張力も強いので指先に血がにじんだりして、かなり重労働らしいですが。
デュオ・ビリティスは女性ハープ奏者二人組。
ブリリアント・レーベルから何枚かアルバムを出していて、曲によってはハープを弾きながら歌ったりもしているそうです。
全曲
(2021.08.01.)