ヴィクトル・ベンディクス/交響曲全集(全4曲)
Victor Bendix/Complete Symphonues
(シェルタコフ指揮 オムスク・フィルハーモニー管弦楽団 1999年)



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ロマンティックが止まらない

デンマークの作曲家、ヴィクトル・ベンディクス(1851〜1926)、ふつう知りませんよね、そんな人。 
私もつい最近まで知りませんでした。
カール・ニールセン(1865〜1931)の師匠にあたる人ですが、ニールセン自体それほど知られているとはいえませんし・・・。
とにかく19世紀後半から20世紀初頭にかけて、デンマーク音楽界のドン的な存在だったそうです。

収められた4曲の交響曲、みな美しいです。
ロマン派の王道まっしぐらと言うのでしょうか、全くひねくれず、ただひたむきにロマンティックしています。
作曲者は「音楽は、しばしの間ひとびとに日々の憂さを忘れさせるためにある」 という言葉を残しているそうです。
まさにそういう人が書きそうな交響曲。 しかも、手腕は確か。


第1番ハ長調「山登り」(1882)、雄大なスケールとみずみずしい響きは、「楽天的なブラームス」を連想します。
どの楽章にも、口ずさみたくなるようなメロディが用意されていて、親しみやすい作品。

 

第2番ニ長調「南ロシアの夏の響き」(1888)。 なんと詩的なタイトル! 
私はこのタイトルだけでクラッと来てしまいましたが、曲のほうも牧歌的で人懐こいです。
「アク抜きをしたドヴォルザーク」とでも言いましょうか、優雅で爽やか。

 

第3番イ短調(1895)は、解説にもありますが、おそらく最高傑作。
とくに第3楽章は、「エレジー」というタイトルにもかかわらず、
「やっと幸せをつかんだマーラー」みたいな屈折した明るさをもつ、複雑で感動的な最終楽章。

 

第4番ニ短調(1906)、両端楽章の情熱的な激しさが印象的。 
特に冒頭のキャッチーさは4曲中随一。
ただ、この曲には随所に「プリミティヴなニールセン」を思わせる箇所があるようです。
第2楽章の東洋的で曖昧な響きは、新しい音楽を模索した結果でしょうか。
ただし第3楽章アダージョ・ノン・トロッポは、滴るような甘いメロディがダダ漏れ状態。
この人にはやっぱりこういうロマンティック路線が合っているような・・・。 
少なくともメロディ・センスはニールセンよりも絶対上ではないかと。

 

ベンディクス自身は、死ぬまで後期ロマン派の枠内にとどまり続けましたが、ニールセンなどの前衛的な音楽にも早くから理解を示し、擁護したそうです。
「カール、オレを越えて行け!おまえならまだ先へ行ける」 「・・・ヴィクトル先輩!」 って感じですか。

さて最近、自分の中に「マイナー作曲家の交響曲ブーム」が来ているようで、
何かに憑かれたように、聴いたこともない作曲家の交響曲CDを漁っております。
暑さのせいかもしれません(なんでや?)
この先、わけのわからん曲を、どんどんつるべ聴きする予定となっております。
また友達が減りそうです。

(06.7.15.)

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