中山康樹/これがビートルズだ(講談社現代新書 2003年)
私は70年代後半に、いわゆる「赤盤」 「青盤」 でビートルズにはまりました。
オリジナルのLP(死語?)も何枚か買い、買えない分は友人から借りたり、貸しレコード屋(死語?)で借りて、
カセットテープ(死語?)にダビング(死語?)して、ほぼ全曲聴きました。
ジョンが死んだ時はけっこうショックを受けて、「イマジン」を聴きまくったものですが、
考えてみればここ10年くらいビートルズ、まともに聴いてなかったなあ・・・。
ここで警告します。
私のような生半可な元ビートルズ・ファンは、この本を読んではいけません。
ビートルズが残した全公式曲213曲を、1曲あたり1ページで語った本書、
著者の中山氏、もう言いたい放題、でもうなずけるところ多し。
本当にビートルズを愛しているのだなあと思わされます。 ただしすごく偉そう。
ジョンは確かに天才だった、しかし彼の才能は「HELP!」で頂点を極めた後、徐々に衰えはじめ、
「Rubber Soul」からは、もう一人の天才ポールがその本領を発揮し始めるとか、
ジョージのインドへの傾倒は結局なにも生まなかったとか、
ジョンはヨーコと出会ってますますダメになったとか、
著者なりのビートルズ観、なかなか興味深いものがあります。賛同するかどうかは別ですが。
「It’s Only Love」をジョン自身が、「いちばんきらいな曲。歌詞が最悪」とコメントしていることについて、
中山氏「あんたに言われたくないとはこのことだ」って、あのー、向こうは作者なんですけど・・・。
歌詞の引用がカタカナ表記で、「空耳アワー」なノリなのも面白いです。
"Can't buy me love〜" は、「キャンバイミーラ〜アン」、
"Close your eyes〜" は、「コ〜ジュア〜」。
「シラッジュヤーヤーヤー」なんてのもあります。ほとんど呪文ですな。
「魔法のような曲だ(I'll Follow the Sun)」、「なんという名曲、なんと見事な展開(Nowhere Man)」・・・
この本を読んでいてビートルズが聴きたくならない人はいないでしょう。
でも「赤」と「青」と「サージェント・ペッハーズ」と「アビーロード」しか持ってなかった私、もう欲求が不満して・・・
ふと気がつくとビートルズのCDを5枚も注文していました。
いまだにページをめくりながらビートルズ漬けの毎日です。助けてくれー。
(05.5.3.記)