バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント
(ピエール・ブーレーズ指揮 シカゴ交響楽団 1995録音)



Amazon : Divertimento / Dance Suite


納豆の次くらいにベラ・バルトーク(1881〜1945)の音楽が苦手な私です。

「管弦楽のための協奏曲」「弦チェレ」も6曲の弦楽四重奏曲もどうもピンときません。
緻密で精妙で崇高で、芸術的に優れた作品であることはわかるのですが、絶望的にとっつきにくいと言うか、音楽が「なんかえらそう」な感じがするのです。
バルトーク自身プライドが高く、孤高というか、容易に他人と打ち解けない人だったそうです。
ご本人も作品も、もうちょっと愛想または色気があったらいいのにと思いますが、それではバルトークではなくなってしまうのでしょうね。

さてそんな私でも、「これいいじゃん」と思うバルトーク作品が全くないわけではなくて、そのひとつが

 弦楽のためのディヴェルティメント(1939)

です。

3つの楽章からなる二十数分の作品で、1939年の夏にスイスの避暑地でわずか2週間で書きあげられました。
脂の乗り切った円熟期の作品であり、短期間で仕上げたからか、バルトークにしては「軽妙さ」が感じられるのが魅力。
随所にソロを多用することで変化をつけており、「合奏協奏曲」のような味わいも。

第1楽章はソナタ形式



冒頭の流れるような第一主題、快活さと柔軟さを兼ね備えた魅力的なメロディで、ハンガリーの民族的な節回しも感じられます。
1:10からやさしそうな第二主題が四人のソロ(弦楽四重奏)で提示されます。
1:45、全楽器がシンコペーションで同音を反復するちょっとやかましい動機が登場、これは重要な役割を果たすのでいちおう第三主題ってことで。
小結尾は第一主題の変形と第三主題が交互に登場しながら静まってゆきます。
3:14から展開部、冒頭と同じような弦の刻みの上に第一主題の変形が奏でられ、ソロを交えて対位法的に展開、やがて第三主題が顔を出しはじめます。
第三主題のあいだにソロが挟まる形で盛り上がってゆきクライマックスを形成します。
5:40から再現部、第一主題に続く経過部で、もう第三主題がでしゃばってきます。
6:43から第二主題、7:20から第三主題が正式に再現されます。
7:53からふたたび第一主題が回想され、柔かく澄んだ響きを残して消えてゆきます。

第2楽章は三部形式。



ヴィオラ以下のもやもやした伴奏をバックに、ヴァイオリンが何だかはっきりしないメロディを紡いでゆきます。
霧の深い森の中を彷徨っているような、茫洋とした雰囲気です。
と、2:20、突然突き刺すような高音が奏でられ、ヴィオラにシンコペーションを伴う新しいメロディが出ます、ここから中間部
メロディはヴァイオリンに移り、3:35で小さなクライマックスをつくったあと、
低音がオスティナート・リズムを執拗に繰り返す上に、ヴァイオリンが短い半音階的な音型をこれまた何度も繰り返しながら盛り上がってゆきます。
やさしいソロと緊張感のある和音の強奏が交代する部分を経て、7:20から最初の主題が再現、第三部に入り静かに終わります。
ひそやかな夜を思わせる幻想的な楽章、どこか呪術的でもあります。

第3楽章はにぎやかなロンド。独奏ヴァイオリンが大活躍します。



前の楽章から雰囲気は一変、派手なイントロに続いて独奏ヴァイオリンが明るいロンド主題を提示します。
合奏がそれに和し、このあたりいかにも協奏曲風。
1:05からリズミックな第一副主題(第1楽章の第三主題の変形?)、つづいて1:34からロンド主題がやや変形して再現します。
1:58から力強いユニゾンで男性的な第二副主題、これはフーガ風に展開してゆきます。
2:47から独奏ヴァイオリンがゆったりと歌う部分になり、最後は短いカデンツァになります(ちょっとジプシー風)。
3:44から独奏ヴァイオリンが新しいメロディを奏でますが、これはじつはロンド主題の反行型
4:27から第一副主題が独奏チェロで再現、ロンド主題の反行型とからみ合って展開されます。
5:22から蝿の羽音のような三連譜に乗ってロンド主題が再現、その後しだいに静まって6:26からピチカートになります。この部分、お洒落で好きです。
6:52からコーダ、ふたたび蝿の羽音的三連譜に乗ってロンド主題がトゥッティで奏でられ、各楽器のソロが短く絡み合った後、力強く曲を閉じます。


バルトークにしてはとっても快活で洒落た曲です。 バルトークくん、やればできるじゃありませんか(←何様じゃ)。
「管弦楽のための協奏曲」よりもこっちのほうが好きです。


全曲(ジャニーヌ・ヤンセンをリーダーとするライブ)



(2020.04.26.)

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