柴田よしき/ふたたびの虹(祥伝社文庫 2004年)
柴田よしき/竜の涙〜ばんざい屋の夜(祥伝社 2010年)

ふたたびの虹 (祥伝社文庫) 竜の涙 ばんざい屋の夜


<ストーリー>
東京・丸の内の雑居ビルの片隅にある小料理屋「ばんざい屋」
女将の作るちょっぴり懐かしい味に誘われて、夜な夜な集まる客たち。
クリスマス嫌いなOLの悩み、殺された常連客の知られざる夢、古い指輪に秘められた殺意。。。
謎めいた過去を持つ女将が、人間模様を絡めながらそれらを解決へと導く。




このたび、私の住む街で日本陸上競技選手権大会なるものが開催されました。
昨日(6月6日)の日曜日、「ひとつ見に行ってみるべえ〜」てなわけで、娘と観にいきました(娘は金曜日にも行きましたが)

陸上の試合を見るのは初めて。
福士加代子、福島千里など、有名選手をナマで見て、ミーハー心が興奮しました。
それは別にしても、鍛え上げられた肉体が、跳び、走り、躍動するのは本当に美しかったです。

スポーツおたくの長女は、聞いたこともない選手の名を連呼しながら写真を撮りまくってました。
「竹澤さーん!」「八木さーん!」「矢澤さーん!」
・・・よく知っとるなあ。

自分が運動したわけではないのですが、気持ちよくお腹が空いて、
帰ってから食べた夕食の美味しかったこと・・・。

さて、美味しい食事といえば最近読んだこの小説。

 出てくる料理が美味しそう過ぎます!

小料理屋の女将が、客からもちこまれた「日常の謎」を解決する連作ミステリ・・・と思って読み始めたのです。
確かに出だしはそういう雰囲気なのですが、
徐々に女将自身の「隠された過去」のほうに重点が移ってゆきます。
第1話から伏線が張られているので、最初からそういう予定だったと思われます。
凝った構成です。

中盤以降、しだいに明らかになってくる女将の人生は、
小池真理子の恋愛小説かい、と言いたくなるほど華麗で波乱万丈かつドロドロ。
日本、パリ、イタリアを又にかけた愛憎絵巻が展開されます。
それにしても出てくる料理の美味しそうなこと!
いやあ読みごたえあるわこれは。

ラストは明るい余韻を感じさせてくれて、読後感もグッド。
おまけに出てくる料理の美味しそうなこと!
気持ち良い人情話系恋愛ミステリ連作小説(←ややこしい)でした。

続編の「竜の涙」では、ミステリ要素はさらに薄まって、
限りなく普通小説に近づきますが、これがまた良いのです。
基本的に悪人は出てこず、どの登場人物も懸命に毎日を生きています。
そして出てくる料理の美味しそうなこと!(←しつこい)
読むと元気が出ると同時にお腹が空いてきます。

とにかく全編に登場する和食が美味しそうなんです!(←だからしつこい)

 さば鮨、松茸の土瓶蒸し、筍とワカメの炊き合わせ、ブリ大根、香り高い栗おこわ。。。
 
おまけに女将は美人で聡明でミステリアス

・・・こういう店が、実際に身近に存在したら、大変なことになります。
3日とあけずに通いつめ、女房に殴り飛ばされることでしょう。
小説の中で楽しむのが安全です。

(10.6.7.)


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