小玉ユキ/坂道のアポロン(全10巻)
(小学館 2007〜2012)
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1966年初夏、父親の仕事の都合で、横須賀から長崎県の佐世保東高校に転校した男子高校生・西見薫。
裕福な一族に生まれた薫は、ピアノを得意とする優等生だが、家族や親の愛を知らない。
転校初日、ドラムを叩くバンカラ不良男・川渕千太郎と出会った薫は、それまで知らなかったジャズの世界に引き込まれる。
いつしか薫は千太郎の幼なじみ・迎律子に想いを寄せるようになる。
しかし律子は千太郎をひそかに慕っており、その千太郎は上級生の深堀百合香に一目ぼれするのだった。
年甲斐もなく、はまってしまいました。
ネットで3巻まで無料で読める、というので何気なく読みはじめたところ、いきなり作品世界に引っ張り込まれ・・・。
翌日、書店を駆けずり回って全巻揃えてしまいました。
昭和テイストの青春漫画。
恋愛やジャズにいろどられつつも、メインは薫と千太郎の10年にわたる友情物語。
友達少ない私の心に沁みましたぜ・・・。
1966年の地方都市が舞台というのもいいですね。
セリフも方言丸出し、田舎者の私には親近感わきます。
お風呂が隣家と共用とか、ご近所みんな知り合いとか、大学生といえば学生運動とか、頑固な親父さんのいるレコード屋とか、
そういう昭和40年代ぽい懐かしさが全編から立ちのぼって良い香り。
そして千太郎のキャラクター、正しい昭和の不良です。 平成のヤンキーとは違います。
お約束的に草をくわえたりもしてますが、笑ってはいけません。
派手さはないけど落ち着いた絵柄も、とっても好みです。
全編を通して、薫と千太郎はジャズを奏でますが、これはまあ一種のファンタジー&ユートピア。
技術的な壁にぶつかることもなく、音楽性で衝突することもなく、「このヘタクソ!」とののしり合うこともありません。
というかほぼ独学で、自由自在・当意即妙・快活奔放・表情多彩なインタープレイを繰り広げるこいつら、どんだけ天才!?
まあ・・・・・・よいのであります、こんだけ面白いんだから。
起伏にとんだ繊細なストーリー、ラストも見事に決まっています。
いまさら私ごときが言うまでもない名作らしいのですが、これ本当に良かったです。
(2015.1.23.)