芥川也寸志/管弦楽作品集
(湯浅卓雄・指揮 ニュージーランド交響楽団)
Amazon.co.jp : 芥川也寸志:オーケストラのためのラプソディほか
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<曲目>
オーケストラのためのラプソディ(1971)
エローラ交響曲(1958)
交響三章(1948)
作曲家・芥川也寸志(1925〜1989)は、芥川龍之介の三男。
黒柳徹子と一緒に、NHK−TV「音楽の広場」(1977〜1984)の司会をしていたのを思い出します。
なんと、もう20年以上前の番組でしたー! 知らない人のほうが多いな、きっと。
芥川也寸志は亡くなったのに、黒柳徹子は今でもほとんど変っていないのが、ちょっと怖いぞ。
このCDは、芥川也寸志の代表作を、初期・中期・後期からバランスよく選んでいます。
「オーケストラのためのラプソディ」は、ほら貝を吹き上げるような序奏に始まり、
オリエンタルで豪華な音響絵巻が繰り広げられます。 リムスキー=コルサコフの「シェヘラザード」にちょっと似てます。
「エローラ交響曲」は、芥川也寸志の代表作。。
作曲者は1956年にインドのエローラ石窟を訪れました。
迷宮のような遺跡内には無数の彫刻たち。
秩序も規則性も無く、仏教とヒンズー教とジャイナ教、3つの宗教の寺院が混在し、
男女のセックスの有様を描いたレリーフもいたるところに刻まれているそうです。
無限に続く混沌と無秩序、性の肯定、ほとばしる生命力。
これぞアジアだ! と芥川也寸志は猛烈に感動し、この交響曲を作曲したのです。
曲は、20の短い楽章(というか断片)から成ります(1楽章は1分ほど)。
うち11が女性的楽章、9つが男性的楽章とされ(あえて10対10にしないのがアジア的なんだそうで)、
指揮者はこれらを自由な順番で演奏してよい、どころか好きな楽章を自由に反復して演奏して良いのです。
つまりやろうと思えば、永遠に演奏し続けることも可能なのですが、
実は作曲者が初演時に指定した組合わせがあって、このCDはそれに従って演奏されています。
演奏時間17分あまりです。ご安心ください。
エローラ交響曲より
静かな女性的楽章から始まり、次第に男性的楽章の躍動、咆哮、熱狂となり、圧倒的クライマックスへ。
無調の部分があるかと思えば、急に親しみやすいメロディが登場、力強いリズムにノリノリ、変化に富んでて飽きません。
そして全曲を貫くアジア的・日本的響き。
・・・スピーカーで聴いていたら、うちの女性的家族たちに「うるさいっ!」と怒られました。トホホ。
「交響三章」は若き日の出世作。
プロコフィエフをさらに軽くお洒落にしたような明るく楽しい作品で、本当の意味でセンスのいい人だったんだなあと、しみじみ思ってしまいます。
第1楽章 カプリッチョ (プロコフィエフそっくり!)
(06.6.22.)